給与制度は採用の上で需要な要素だ。企業の事業内容や環境だけではなく、どれだけの補償があるか、という点でジョインする決断を踏み切るきっかけになることも少なくない。

今回は日本のスタートアップであるモビンギが実際に取り組んでいる「オープランサラリーモデル」について、そしてその目的について、書き留めたいと思う。

シリコンバレーの企業 Buffer は従業員に向け、給与計算を見える化する Open Salary モデルを公開した。これはスタートアップの採用において、非常に画期的な方法である。応募者は面接を受ける前から予め、自分がどの程度の給与額になるのか、具体的な想像ができるからだ。

モビンギでは日本の現状に合わせ、シリコンバレー方式のOpen Salaryモデルに幾つかの変更を加え、インバウンドの採用ツールの1つとして活用している。全ての新規応募者に対し、初めての面談の際に給与計算モデルを共有しているのだ。実際にこの手法を取り入れてから、最終面談までの応募者の不安や不満を少なからず解消できていると実感している。

下記は給与モデル案の一例(詳しくは解説を参照)

解説:

  1. ROLE – 職種を表す。下記がモビンギの公開役職であり、基本給は職種によってJPY3,000,000 ~ 10,000,000/年の間で変動する。(具体的金額は従業員・応募者には公開)
    • ソフトウェアエンジニア
    • サポートエンジニア
    • セールス
    • デザイナー
    • バックオフィス
  2. EXPERIENCE – 業界での経験年数を始め、複数の要素により定義される。
    • 初心者: 1x
    • 中級者: 1.1x
    • 上級者: 1.2x
    • マスター: 1.3x
    • スーペリア: 1.4x
    • スーパーノヴァ: 1.5x
  3. CHOICE – オプション選択。年収に追加で一定額プラスするか、新株予約権に追加するか選択できる。
    • JPY 600,000 /年の追加支給、もしくは 50%以上の追加新株予約権
  4. LOYALTY – モビンギで勤続した従業員に対し毎年5%ずつ基本給の増給がある。これは全社員に適用される。

 

ここで我々が示したいのは、従業員に対し(そして未来の仲間に対し)自分の役職の基本給与と経験値から大体の給与額が予測できるという点だ。そして勤続年数が増すごとに安定した増給が約束されている。新株予約権の追加か、その分を毎年の年収に上乗せするかの選択も個々に任されている。

もちろんモビンギには上記以外にも、ボーナスや福利厚生といったものについて詳細な規定がある。しかし、一目見て分かる重要な判断材料となり得る情報を初期段階で有能な候補者に提示することで、彼らの決断をよりスムーズにできるということは、スタートアップを急成長させる上で非常に重要なことである。リスクはあるけれど、将来的な大きなリターンを信じ、会社と一緒に成長しできる仲間を最速で見つけることができる。