モビンギの堀内です。
私が初めて書いたAWSの本「Amazon Web Services エンタープライズ基盤設計の基本」が2018年10月4日に日経BP社から発売されました!
本の紹介をする前にまずは私とAWSの出会いを紹介したいと思います。
AWSと私
私がAmazon Web Services(AWS)に出会ったのは2009年のことでした。創業間もないスタートアップでエンジニアが私1人という状況でソーシャルアプリを開発していました。開発したアプリはデータセンターを借り、物理サーバー2台でWeb+DBの構成で運用していたのですが、ある日、開発したアプリの1つが突然ヒットし、急激にアクセスが増え、物理サーバー2台ではキャパシティ不足になってしまいました。新しいサーバーを購入し、追加するにも数週間の時間を要するため、困っていたところ、知人にAWSを勧められ、調べてみることにしました。
調べてみると、EC2を利用すれば必要に応じてサーバーを瞬時に用意できること、当時リリースしたばかりのRDSを使えばデータベースの運用が簡単になりそうだということがわかり、AWSへの移行を決断しました。
移行にかかった時間は調査も含めてたったの5日。移行後はキャパシティ不足に悩むことがなくなりました。RDSを導入したことで、なくなると事業継続できなくなるデータが無くなる心配をしなくて良くなり、新しいアプリの開発に集中することができるようになりました。インフラストラクチャーの管理はすべてAPI経由でコンソールやブラウザから行えるようになり、データセンターに行く必要もなくなりました。私の中で、インフラストラクチャーがハードウェアからソフトウェアに変わった瞬間でした。
この体験からAWSをもっと多くの人達に知ってほしいという思いが強くなり、2012年3月にアマゾン データ サービス ジャパン(現・アマゾン ウェブ サービス ジャパン)に入社し、テクニカルエバンジェリストを務めました。
現在は、クラウドのコスト管理を簡単にする「Mobingi Wave」、AWSの請求管理を簡単にする「Mobingi Ripple」、クラウド自動化プラットフォーム「Mobingi ALM」を展開するモビンギの取締役を務めながら、トレノケートという教育会社で、AWSの公式トレーニングの講師をしています。
AWSのエバンジェリストになってからは一貫して、AWSを知らない人にAWSの良さを知ってほしい!そしてエンジニアの人が楽になって幸せになってほしいという思いを持っていて、MobingiにJoinしたのもさらにクラウドを楽に使えるようなツールがあったらいいなという思いからですし、トレーニングの講師をしているのもAWSの良さを直接受講者に伝えることができるからです。
そして、今回発売する「Amazon Web Services エンタープライズ基盤設計の基本」もこの思いをもって14ヶ月の間、コツコツと書いてきた日経クラウドファーストでの連載記事「本格導入前に学習するAWS基礎演習」を再編したものです。
本書の対象者
「Amazon Web Services エンタープライズ基盤設計の基本」は次のようなITエンジニアの方を対象としています。
- クラウドについての知識や経験はほとんどないが、これからAWSの導入を検討する。
- AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトの資格を取得予定である。
タイトルには「エンタープライズ」と入っていますが、スタートアップからエンタープライズまで企業の規模にかかわらず、AWSをこれから勉強したいエンジニア向けに書いています。
本書の目標
業務システムにAWSを本格導入するうえで必要な知識は多岐にわたります。
どこから学んだらいいか分からない、AWSを触っているが体系的に理解したという手応えがない、といった悩みを抱える方が多いようです。
そこで、「Amazon Web Services エンタープライズ基盤設計の基本」は読み終わった方が次のことを達成することを目標としています。
- 業務システムで必要なAWSの主要サービスの知識と、それを使ったインフラ設計について体系的に理解する。
- AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトを取得するベースの知識が身につく。
本書の内容
「Amazon Web Services エンタープライズ基盤設計の基本」では、AWSを基本から解説しています。
目次は次のとおりです。
- 序章 AWSの利点とデータセンターの構成
- 第1章 リージョン選びとネットワークの設計
- 第2章 仮想マシンとオブジェクトストレージ
- 第3章 負荷分散とスケーリング
- 第4章 疎結合
- 第5章 CDNとDNS
- 第6章 セキュリティ
- 第7章 基盤構築の自動化
- Appendix A 問題と解答・解説
- Appendix B インフラを構築してみよう
ただ、単にAWSの各サービスを紹介するだけでは、なかなか理解を深めるのは難しいだろうと考え、コーポレートサイトのシステムを題材にして、アーキテクチャー設計と基盤構築の実践的なノウハウを解説するスタイルになっています。
具体的にはロードバランサーと仮想マシン2 台というシンプルな構成から始め、AWSの様々なサービスを使ってこのインフラを改修し、可用性、拡張性、 セキュリティ、保守性を段階的に高めていきます。AWSの主要サービス を具体的にどのように活用するのかについて、コーポレートサイトのシステム改善を通じて学んでいきます。
とある企業のコーポレートサイトを構築運用する担当者になったつもりで、読みすすめてみてください。
各章の最後には三浦さんが担当してくださったAWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトの試験問題を想定した問題集がついています。
各章に対する知識が身についたかどうかをチェックできますので、チャレンジしてみてください。
最後に
本書によって、AWSの良さを知り、幸せになるエンジニアが一人でも多く生まれることを願っています。